川端康成が愛用した『リーバーサイド』という懐中時計 antique pocket watch
誰もがその名を知っている小説家 川端康成。
川端康成と言えば、ノーベル文学賞受賞作家であり、『伊豆の踊子』『抒情歌』『禽獣』『雪国』『千羽鶴』『山の音』『眠れる美女』『古都』などの代表作で広く知られています。
名前だけでもご存知の方々は多いと思います。
川端康成(1899年6月14日〜 1972年4月16日)
そんな川端康成が、自ら購入し愛用していた懐中時計の存在をご存知でしょうか。
その懐中時計は、『Riverside(リバーサイド)』という名を持った懐中時計で、アメリカのWALTHAM(ウォルサム)というメーカーのものです。
『Riverside(リバーサイド)』は、ウォルサムの中でも高級ムーブメントが採用された高級時計として知られており、今でも高値がつく時計として知られるアンティーク懐中時計です。
川端康成は、その『Riverside(リバーサイド)』を自ら購入し愛用していたと言われております。川端康成が購入した決め手は、その名『Riverside(リバーサイド)』にあります。
『Riverside(リバーサイド)』は、
River=川
Side=端
となることから大変気に入っていたそうです。
編集者にも懐中時計を見せ『Riverside(リバーサイド)』が川端であることをよく話していたという逸話が残っております。
写真の懐中時計は、川端康成が愛用していたリバーサイドというウォルサムの懐中時計です。
このリバーサイドという名機には、maximus(マキシマ)という高級グレードがあります。そのマキシマというムーブメントには、ダイヤモンドが使用されております。
時計のムーブメントには、ルビーが使用されており、そのルビーが部品の摩耗を軽減する機能を持っております。そして見た目にも大変ムーブメントを美しく演出しております。
日本に懐中時計が初めてやってきた商館時計では、本物のルビーが使用されていたとも言われており、大粒のルビーが使用されていました。
これがリバーサイド・マキシマのムーブメントになります。
ムーブメント表面には、美しい模様があしらわれているのが見て取れると思います。このような模様のウォルサムの特徴と言え、量産型ムーブメントであっても美しい模様が施されております。
このムーブメントには全てに石(ルビー・ダイヤモンド)が施され、その周りには金無垢の金シャトンと言われるものもあしらわれております。
そして3ヶ所にダイヤモンドがあしらわれております。
その3ヶ所とは、テンプ受けとアンクル受けそしてガンギ車の受けで、荒く削られたダイヤモンドがあしらわれていることがわかると思います。
このマキシマでは、中の歯車も金無垢で作られてあります。
目には見えることがない部分ですが、このように高級な部品が使用され、丁寧に作られていることがわかります。
ウォルサムは、アメリカ最大級の時計メーカーで、時計産業を牽引してきたと言っても過言ではありません。
時計といえば『スイス』というイメージがありますが、当時スイスからウォルサムの工場へ見学に来ていたほどの工場生産技術を誇っておりました。
スイスは時計技術。
アメリカは、合理化をはかり工場による大量生産によるビジネス化へ進化させた。
ということが言えます。
やがてウォルサムの時計は精度においても技術においても信頼されるようになり、精度を求められる鉄道時計において全世界で採用されるようになります。日本においても正式な鉄道時計としてウォルサムが採用されていました。
そんな有名なウォルサムを時計好きの方なら、聞いたことがあるかもしれません。
ですが、このウォルサムというメーカーは1957年に幕を閉じましたので、現在はなくなってしまっております。
『あれ??』
と思われたかもしれません。実はウォルサムは現在も販売されているメーカーですので、お気付きになったかもしれません。
ですが、実は、現行ウォルサムは、昔のウォルサムとは全くの別物なのです。
当時は、アメリカ製ムーブメントでしたが、現行はスイス製ムーブメントで、ムーブメントをみると一目瞭然です。
現行ウォルサムを昔のウォルサムとして販売されているものをよく目にしますが、全く別物で名称のみが同じであるだけとなります。
実際に1961年のアメリカ連邦取引委員会の裁判において、現在のウォルサムが当時のウォルサムと関係関連があるような明記や表現が正式に禁止されました。
実は、このような歴史があります。ELGIN(エルジン)というアメリカの有名なメーカーも同じことが言え、現在のエルジンと昔のエルジンは全くの別物となります。
ウォルサムやエルジンを購入される際はご注意くださいね。
昔のウォルサムはそれだけ素晴らしいメーカーとして知られ、またリバーサイドというモデルは大変高価であったことから、川端康成が愛用していたことも頷けると思います。
この懐中時計は、1900年頃(明治33年)のもので、今から119年前の明治のものとなります。日本において、明治には文明開化とともにやってきた商館時計というものが主流でしたが、アメリカではこのような美しい時計が普通に大量に製造されていました。
このような背景を楽しむことができるのもアンティークな懐中時計の醍醐味と言えます。
川端康成にあやかってみてはいかがでしょうか。
あなたにとって成功をつかむラッキーウォッチとなるかもしれませんよ。
アンティーク懐中時計にしかない雰囲気というものを感じて頂けると思いますよ。