明治から時を刻むアンティーク懐中時計の魅力 antique pocket watch

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懐中時計をご存知でしょうか。

誰もがご存知の懐中時計ですが、持っている方は少ないと思います。そんな懐中時計の魅力についてお話ししたいと思います。

懐中時計とは、実に日本的な名称で、読んで字のごとく懐におさめる意の懐中です。海外では、ポケットウォッチと呼ばれています。

時計といえば、今では腕時計が主流で、この懐中時計も忘れられている存在ではありますが、コレクションされている方々も多くコレクターの間では機械式懐中時計は根強い人気があります。

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昔、日本において時計は庶民には浸透していない存在でしたが、幕末から明治となり文明開化に伴い蒸気船や蒸気機関車など新しいものが日本にやってきました。その1つに懐中時計がありました。

当時、神戸や横浜には商館と言われる各国の商館があり、その商館がスイスなどで時計を製造させ、商館名を刻んで販売したものが商館時計と称されるもので、この懐中時計こそが日本初の携帯する時計の始まりで、起源となります。日本における携帯する時計文化は明治より起こりました。

この写真の懐中時計も、手巻きの機械式懐中時計で明治に製造されたものです。すでに100年は経過したものですが、100年前のものとは思えないほどで日々時を刻んでおります。

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明治より時を刻み続けていると思うと感慨深いものがあります。

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このような機械式ムーブメントと言われるものが内蔵されており、ゼンマイの動力によって時を刻んでおります。

ゼンマイを巻くことで強い動力を生み出し、数個の歯車によって力は伝えられていきます。

そのままではゼンマイの動力は一気に伝わり高速で回転し消化されてしまいますが、その力を伝えていくようにアンクルとガンギ車と言われる部品で『カチカチカチ』と音を立てながら少しずつセンマイの力を消化していき時を刻むようになっております。

時計の『カチカチカチ』という音は、ガンギ車とアンクルの当たる音によって生じている音色です。時計それぞれによってケースも違えば大きさも違いますので、この音色にも違いがあり、大変奥深いものがあります。

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手巻きの機械式ムーブメントは、一部違いや変遷があるもののほぼ同じような構造を持っているのですが、見て目はそれぞれのメーカーによって独自性があり、見た目にも楽しむことができます。

今販売されている機械式時計は、精度を追求した大変精巧な機会となっており、大変緻密に稼働し時を刻んでおり、『カチカチカチ』ではなく『チチチチチチ』という音色を奏でます。

昔の懐中時計とは、現行に比べると精度は落ちますが、大変穏やかに『カチカチカチ』と時を刻み、殺伐とした忙しい日々を穏やかにしてくれるような音色を奏でており、心を癒してくれます。

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この懐中時計はハンターケースと言われるもので、蓋がついたものです。

懐中時計は、もともとオープンケースと言われる片側がガラス風防のものが普通でしたが、馬に乗り狩猟を行っていた際にアクシデントでガラス風防が割れてしまうなどの問題がありました。そこでこのケースが誕生し、逸話からハンターケースと称されるようになります。

この銀色のケースは、シルバー800の銀無垢で製造されたものです。銀製の貨幣に使用されていたことから俗にコインシルバーとも呼ばれております。

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リューズ(竜頭)と呼ばれるタマネギ型の部分でゼンマイを巻くのですが、その部分を押すとハンターケースの蓋が開閉し、文字盤をみつことができます。

この時計は、スイスのTAVANNES WATCH CO(タバン)と呼ばれるメーカーの懐中時計で文字盤に記されております。

このタバンの親会社は、シュオーブフレール社という明治期にはスイス最大級の時計メーカーで、このシュオーブフレール社製造の商館時計などの懐中時計が、商館によって多く日本に輸入されました。

このタバンは、犬印の刻印がトレードマークでもあり、蓋やムーブメントによく刻印されております。

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この懐中時計の表の蓋裏にも刻印されております。このスタイルの刻印が多いのですが、この懐中時計のムーブメントには、少し違った犬印が刻印されています。

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ムーブメントの犬印は、コリー犬のようなフサフサした毛並みで左向きの愛らしい刻印があり、珍しい刻印となっております。明治の時計ならではの謎がそこにあり、このような出会いもアンティーク懐中時計の魅力の1つでもあります。

そもそも、アンティークという言葉がありますが、アンティークとは100年の時を経たものをそう呼びます。

アンティーク腕時計などの言葉もありますが、実は腕時計の歴史は案外浅く、戦時中に懐中時計を手に負けるようバンドを製造し手に巻いたことが腕時計の起源で、その後ケースにバンドを取り付けれるよう加工され、今の腕時計があります。腕時計とは戦争という非常事態から誕生したもので、約80年ほどの歴史しかなくアンティークとは呼べない状況です。

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懐中時計とは、文明開化の明治より日本において歴史が始まりましたが、腕時計に比べ大型で部品も丈夫なことから今も変わらず時を刻める大変丈夫な時計として存在しており、アンティーク懐中時計を今も楽しむことができます。

日々、目にし、持ち歩く時計として、今ではスマホで時刻を知ることができますが、懐中時計というものもいいものですよ。

懐中時計が生活の一部であった痕跡は、現在皆さんの生活の中でも見ることができます。

皆さんお持ちのジーンズにその痕跡があります。ジーンズ右ポケットに小さなポケットがあると思います。小銭入れになっている方もいるかもしれませんが、あのポケットは実は懐中時計を入れるための懐中時計専用ポケットであった痕跡なのです。

それだけ生活の一部として欠かせない存在であったことがうかがい知れると思います。

そんなアンティーク懐中時計、明治より時を刻む音色にそっと耳を傾けてみませんか。

ノスタルジックな世界に身を委ねることができるかもしれませんよ。

 

 

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